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個人で開業するにあたって必要な手続きについて【フリーランス編】

個人で開業するにあたって必要な手続きについて【フリーランス編】

概要

本章では、「フリーランスになるまでのチェックリスト」のうち「セルフマネジメント」「損害賠償」の部分の具体的な進め方について解説します。

それぞれの項目について、すでに行っている方は、こちらの項は飛ばして先に進めていただいてかまいません。

最も大切なのは、必要な書類の提出です。
フリーランスとして業務を開始する場合、法律で定められた書類を提出する必要があります。業務開始時から1ヶ月以内など、期限が決まっている場合が多いため、確認したらすぐに準備しましょう。

目次

フリーランスとして働き始めた際、提出が必要な書類

書類名期限
個人事業の開業、廃業等届け出書事業開始日から1ヶ月以内
事業開始等申告書(所得税)事業開始日から15日以内(東京都の場合)
所得税の青色申告承認申請書事業開始日から2ヶ月以内

セルフマネジメント

印鑑を用意しよう

今後様々な書類を書いていく中で、いくつかの種類のハンコ(印鑑)を使い分ける必要がでてきます。
まず、主な印鑑の種類を説明します。

名前用途
実印不動産購入時、公正証書への捺印
認印普段の捺印
銀行印銀行口座作成時の捺印

大切なのは、それぞれの種類の印鑑を分けて保持することです。実印は認印や銀行印を兼ねることができますが、かなり重要なものなので、厳重に保管しいつでも取り出せるようにしておく必要があります。また、銀行印についても、基本的には認印とは別で作成し、保管しておくことが望ましいとされています。

 それぞれの種類の印鑑を持っているか確認し、無いものがあれば準備しましょう

国民健康保険/国民年金へ加入しよう

会社に勤めていた間は、健康保険と厚生年金を会社が支払ってくれています。しかし、退職した翌日からは、国民健康保険、国民年金保険料を自分で払わなければいけません。
これらの支払いの手続きは、居住する市区町村役場にて行うことができます。

 国民健康保険、国民年金保険料の支払い手続きを行いましょう

申請先: 居住する市区町村役場

期限: 退職日の翌日から14日以内

開業に向けて必要な申請書類を提出しよう

「事業を始めたよ」ということを公に宣言するために、いくつかの書類を提出する必要があります。
まず税務署に提出する書類が、個人事業の開業・廃業等届出書です。続いて、都道府県税事務所と市区町村役場に事業開始等申告書(個人事業税)を提出します。
また、税関係で税務署に提出しておくと後に有利になる書類として、所得税の青色申告承認申請書があります。

個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業主として納税することを宣誓するための書類です。これによって、税務署は誰から徴税すれば良いかを管理することができます。開業届については税務署に出しますが、こちらは後述する会計ソフト「freee」から簡単に書類を作成することが可能であるため、ぜひこちらを利用しましょう。

個人事業の開業・廃業等届出書を提出しましょう

申請先: 税務署

期限: 事業開始日から1ヶ月以内

所得税の青色申告承認申請書

日本で何らかの所得を得ていると、これは課税対象になります。個人の所得に対しては、ある年の1月1日から12月31日まで1年間の全ての所得です。厳密には、所得全体にいきなり課税するのではなく、所得からある程度の金額を差し引いた額が課税対象となります。では、どんな金額が、課税対象から免れるのでしょうか?

課税対象にならない金額は、大きく分けると必要経費控除に分けることができます。所得税の青色申告承認申請書は、この内の控除に大きく関わります。所得税の青色申告承認申請書を提出すれば、最大で65万円もの控除を発生させることができるのです。そのために青色申告というものを行う必要があります。

所得税の青色申告承認申請書を提出しましょう

申請先: 税務署

期限: 事業開始日から2ヶ月以内

「個人事業の開業・廃業等届出書」及び「所得税の青色申告承認申請書」については両方共提出先が税務署なので、同時に提出してしまうのが良いでしょう。

事業開始等申告書(所得税)

個人事業を開業したことを、都道府県税事務所や市区町村税務課に届け出ます。この時の書類の名称は地方ごとに異なる場合がありますので注意しましょう。こちらは各種地方税の納付を宣誓するものとなります。

事業開始等申告書(所得税)を提出しましょう

申請先: 都道府県税事務所及び市区町村税務課

期限: 事業開始日から1ヶ月以内

会計ソフトを導入しよう

前提として兎にも角にも案件を獲得しなければ税金云々は関係のない話なので、まずは案件獲得に全力を注ぐべきです。また、案件を獲得した後もしっかり完遂するまではそちらに集中しましょう。案件が完了した後、初めて税金や会計ソフトについて学んでください。

さて本題ですが、フリーランスとはつまりは個人事業主です。個人事業主は、国に税金を納める必要があります。その際いついくら納めれば良いのか、納めるに当たって必要な書類や知識は何か、といった知識は必須です。本項では納税を強力にサポートしてくれる会計ソフトの1つ「freee」を紹介すると共に、納税の基礎知識についてまとめます。

確定申告と税の種類

確定申告という言葉を聞いたことはあるでしょうか。確定申告とはごく単純に言えば「ある年の事業の結果を税務署に報告すること」です。ある年の始まりと終わりは、必ず1月1日 ~ 12月31日と定められています。その結果をまとめ、翌年の2月16日 ~ 3月15日の間に確定申告を行います。
納める必要がある税とその時期は、以下の通りです。

税金納付時期
所得税その年の確定申告(後述)期限日まで
消費税3月31日まで(免税事業者は納税必要なし)
住民税6月、8月、10月、翌年1月
予定納税7月、11月(前年分の申告納税額が15万未満の場合は納税の必要なし)
個人事業税8月、11月(所得290万円以下の場合は納税の必要なし)

納税にあたってしておくべきこと

スムーズに確定申告を行うために、年末まで日々の売り上げ、経費などを全て記録しておく必要があります。これらの記録は、帳簿と呼ばれます。
例えば事業の売り上げや、日々事業に必要な経費などについてです。
ここで、「会計ソフト」の出番です。

 会計ソフト

会計ソフトは、帳簿作成をサポートしてくれるソフトウェアです。さらに簡単に開業届を出せる機能や確定申告を楽にしてくれる機能などがあり、個人事業主には欠かせないツールです。

ここでは、例としてfreeeという会計ソフトを紹介します。

 freee

freeeは会計ソフトの一つで、その利便性から近年大きくシェアを伸ばしています。特徴としては確定申告書類の作成をネット上で済ませることができたり、開業届を出すサポートをしてくれたりします。
基本的には開業freeeで開業届を出してそのまま会計freeeで事業の帳簿を管理する流れが楽です。
詳しくはこちらの公式サイトをご覧ください。個人事業主でも審査が通りやすいクレジットカードを提供してくれたりしていますね。

また、各種freeeの利用方法については以下のブログなどが詳しく、また公式のチャットサポート、電話サポートなども利用できるため詳細の説明は控えます。

損害賠償について

個人で案件を獲得する際に抑えておくべき契約についての理解を深める事と気をつけるべき注意点、損害賠償を踏まえて紹介していきます。

なぜ契約が必要なのか

契約書を交わす理由は、委託者と受託者との間でトラブルを未然に防ぐ為です。
個人で案件を獲得する際、契約書を交わさず、口約束で案件を進行する事はよくある事です。これはトラブルのもととなりますので、極力避けるようにしましょう。

 フリーランスとは

個人で受託者として案件を受ける事です。フリーランスという名称は名称はあくまで働き方を指します。職業の名前ではありません。

 業務委託契約とは?

業務委託を契約するには委託する側(クライアント)受託する側(製作者)の両者が必要になります。

委託者と受託者は双方が対等な立場となります。委託者が受託者に対して作業のやり方を制限又は強制する事はできません。

業務委託での2種類の契約方法

 委任契約

委任契約とは・・・
業務の遂行責任を請け負うというもので、結果のみを目的とした契約ではありません。つまり完成義務を負わない契約となります。
事務処理を依頼することも委任となります。そして、受注者が発注者に対して、報酬だけでなく費用の請求をすることもできます。

 請負契約

請負契約とは・・・
結果に対して報酬が支払われる。そのため、結果に責任があります。
仮にミスや不具合があると損害賠償を受けないといけない場合もあります。
報酬には制作費も含まれるので、制作費や材料費の設定によって利益が変動します。

委任契約と請負契約の違い

委任契約は、業務の遂行責任を請け負い、結果を目的としたものではありません。
一方で、請負契約は、結果や成果物に対して報酬が支払われます。
クライアント側から業務委託契約書を提示された場合でも、サインを行う前に
上記のどちらの契約かを確認する必要があります。

契約の流れ

一番注意すべき点は契約書(発注書)の双方の合意が取れてから制作をスタートする必要があります。

契約の際に抑えるべきポイント

業務範囲

文字通り業務の範囲を委託者と受託者で認識の統一をする必要があります。
例えばWebサイト制作の際に、サイト公開までが受託者の業務範囲なのか、コーディングファイルの提出までが業務範囲なのかは双方で合意を取る必要があります。

価格や料金について

金額については「別途協議のうえ決定した金額」や「仕様書に定める通り」などと記し、具体的な金額については触れないこともあります。この場合は仕様書や協議内容をしっかりチェックしましょう。

また「(クライアントは)料金および消費税相当額を支払う」など、税金の取り扱いについても明記しましょう。その他、支払い方法(指定した銀行口座に振り込むなど)、振込手数料(どちらが負担するか)、支払い期限(納品してから1週間以内など)を設定しておくと尚良いです。

★ポイント
・支払い期限の設定
・税込or税抜きでの価格かの確認
・源泉徴収税についての確認
・支払い方法について記載があるか確認
・振込手数料の負担の有無

瑕疵(かし)担保責任

 瑕疵(かし)担保責任

瑕疵(かし)担保責任とは、納品後に制作者側起因のミスで不具合が生じた場合、定められた期間内であれば無料で修正に応じると記した項目です。一般的には90日以内に設定する事が多いです。
納品後にクライント側で改変を行なった場合は、上記は該当しないと契約の際に取り決める事も重要になってきます。

★ポイント
・瑕疵担保責任の期間を決める

不可抗力

天災や不慮の事故、疾病などやむを得ない事由で業務が遅延したり、プロジェクトが完了できなかった場合は責任を問わず、双方の話し合いによって今後の対応を決めること、などを決めておく必要があります。

検品や検修、修正対応

制作物に対して、どのような修正対応を行うか決める必要があります。
成果物やプロジェクトの大小に応じて修正回数や修正期間を決める必要があります。
修正の取り決めを行わない場合は、修正やトラブルに巻き込まれる可能性がある為、
双方の合意を必ず取るようにしましょう。

成果物の著作権や権利について

Webサイト制作やロゴ制作などで仕事を請け負った場合には、その成果物に対しての著作権の問題が発生します。業務委託契約で仕事を行なった場合は、委託側の権利主張が受容される形になるため、受託側はその著作権を委託側へ譲渡する形になります。

成果物をポートフォリオに載せたい場合

上記に記載があるように前提として、成果物の権利は委託側にあります。ポートフォリオ記載の場合は必ず委託側に掲載の旨を共有しておく事を推奨します。
機密漏えいをしない、また委託側にとって損害を被る事がない限り、ポートフォリオに載せる事は許容されるといっていいでしょう。

よくある契約のトラブル

ここでは契約時にトラブルに陥りやすい項目を紹介していきます。実際に案件を受ける際は下記の内容に気をつけて契約を行なっていきましょう。

■ 契約の種類(委任か請負か)を未確認のまま契約してしまった

ケース:

委任契約か請負契約かを確認せず契約をしてしまった。後日、納品を行った後、自分の作品が原因で委託元の会社が損害を受け、多額の損害賠償金を請求されてしまった。

解説:

請負契約のほうが、委任契約よりも重い責任を負います。
決められた期間内に特定の業務を行うことで報酬を受け取る委任契約とは異なり、請負契約では受託者が作業の完成に責任を持ち、納品したものに欠陥や不備があった場合には修補義務や損害賠償責任を課されることがあります。受託者は無過失でもこれらの責任を負います。

ただし、請負契約は一般的に責任が重い分、委任契約よりも大きな収入が見込めたり、再委託が可能という側面もあります。(委任契約では再委託は不可となります。)

契約書のここをチェック:

作業の完成責任があるかどうか。あれば請負委託。
(後ほど深掘り)
契約書の中に明記されているものではありませんが、最も重要な項目ですので、明示して確認するようにしましょう。
以下の表を参考にご確認ください。

■ 偽装請負の仕事を引き受けてしまった

ケース:

業務委託で契約を結んだが、勤務場所や始業・就業時間などが細かく指定されていた上に、クライアント側に業務の遂行方法や労働時間を管理され、実質的には雇用契約と変わらない扱いであった。

解説:

クライアントが業務委託で契約した請負人を雇用契約の条件下で働かせることを『偽装請負* 』と呼び、法律で禁止されています。業務委託契約においては、クライアント側は社会保険料の納付や残業代の支払い義務がないなど、雇用契約よりも人材コストを抑えられるため、違法であるにも関わらず度々行われています。

*言葉としては『偽装請負』ですが、請負契約だけでなく委任契約や準委任契約の場合も含まれます。

契約書のここをチェック:

始業時間・就業時間や労働場所の記載がある場合は注意しましょう。
業務委託契約下で、クライアントが受託者に対して直接指揮を取ることは違法です。
以下の表を参考に、業務委託契約(委任・準委任・請負契約)と雇用契約の違いについてご確認ください。

■ 捨印を押してしまっていた

ケース:

突然、クライアントに有利なように契約内容が変更された。事前に契約書に捨印を押していたので、同意がないまま訂正されてしまったようだ。

解説:

予め、訂正箇所の生じることを予定して、文書の欄外に押しておく印を捨印といいます。捨印を押す段階では、どこを訂正するか分かっていませんので、後日文書の内容を無断で訂正されてしまう可能性があります。直ちに追加・訂正できる便利さもがある反面、非常に大きなリスクを孕みます。

契約書のここをチェック:

捨印を要求されても、押さないようにしましょう。

■ 業務範囲・納品物の定義にズレがあった

ケース:
クライアントに依頼されていたバナーを納品した。契約書には含まれていなかったが、リサイズ版を要求され、無償で引き受けてしまった。

解説:

納品物や業務範囲を曖昧にしてしまうと、拡大解釈をされる可能性もあります。最終納品物はもちろん、作業内容の詳細、進捗の共有方法など、過程に関しても具体的に共有しておくことで、後からどんどん作業が増えてしまうことを防ぐことができます。

契約書のここをチェック:

作業内容・納品物に関する部分をきちんと確認して、曖昧な部分は、できる限り具体的に明示しましょう。加えて、作業に含まれない範囲を明示しておきましょう。これをしっかり行うことで、自分が携わる業務なのかそうでないのか、しっかりとした線引きを行うことが可能です。

■ 追加・修正回数の上限を定めていなかった

ケース:

納品後に自らに落ち度がない内容の修正を幾度となく求められ、想定していた工数を遥かに上回ってしまった。後ほど契約書を確認したら、無制限・無期限で修正を行う内容で契約を交わしてしまっていた。

解説:

デザインという業務の性質上、追加や修正は避けては通れません。
ただし、クライアントによっては納品後に際限なく修正を要求してくるなど、修正に関するトラブルは多く見られます。

契約書のここをチェック:

“無制限・無期限に修正可能”など、明らかにクライアント側のみにメリットがある内容がないか、確認しましょう。
特筆されていない場合でも、予め、回数や期限といった形で、追加・修正に関する上限を定めて、クライアントに文章で共有しておきましょう。

■ 遅延した際の対処法を決めていなかった

ケース:

クライアントの事情でスケジュールが3ヶ月と大幅に遅れた。その間、他の仕事を受けることができなかったため、収入が減少してしまった。

解説:

時にはクライアント側の事情で、仕事が遅れる=報酬支払が遅れることもあります。業務委託による収入で生計を立てている受託者からすれば、クライアント待ちで他の仕事を受けることができない、無収入の状態は避けたいところです。

契約書のここをチェック:

遅延した際の対処法に関する内容を確認しましょう。
明記されていない場合は、◯ヶ月遅延なら受託を中止する、もしくは遅延損害金を請求するなど対処方法を決めておき、クライアントとも共有しておくと、後々トラブルになりにくいでしょう。

■ 損害賠償の範囲・金額の確認漏れがあった

ケース:

請負契約で依頼を受けていたクライアントへの納品が遅れてしまった。それが原因でクライアントの営業活動に支障を与えしまい、クライアントから、納期遅延に対する責任(直接被害)だけでなく、営業活動への支障を与えた責任(間接被害)に対する多額の賠償金を請求されてしまった。

解説:

請負契約の場合、瑕疵担保責任を負うことになりますが、その際に損害賠償の範囲と金額の上限が提示されていない場合、受託者は責任を無限に負うことになってしまいます。上記のケースでは範囲を明言していないことによって、直接被害のみならず、間接被害まで保障の範囲が及んでいます。

契約書のここをチェック:

損害賠償の項目を確認しましょう。
損害賠償の範囲や上限が明記されているか確認します。されていない場合は、『損害賠償は直接かつ通常の損害に限る』『間接的損害については賠償の義務を負わない』など、文章で明示しておきましょう。

損害賠償を避けるためにフリーランスの方は保険に加入してましょう。